陽炎の孵化した夜に…
世界中でただふたりだけ
孤独と隣で生きてきた
まるで糸が絡むように
惹かれ惹かれて愛し合った
満天の星空を
寝転び見上げてあなたは笑う
誓う言葉は「ずっと一緒に」
頬寄せふたり眠った夜
一番幸せで一番大切で一番愛した日
脆い 玻璃(はり)が砕ける様に 儚く消えた
陽炎が孵化した夜に
あなたは遠くへ逝ってしまって
あたしは白い部屋で
抜け殻みたいに ただひとり
自販機の内側で
瞬く小さな命の欠片(かけら)
ただの光に誘われただけ
そんな真実(ほんと)を知らないでいる
孵化する時を待ち続けて
囚われたままで命を終える
まるであなたとあたしみたい
縛り縛られ生きていたね
夕暮れの日が射したこの白い部屋で あなたは眠る
最期に触れた指先は 冷たいままで
陽炎が翔び立つ夜に
あなたは羽根持ち夜空を駆けた
記憶の枷に縛られて
あたしは部屋で まだひとり
何時の日か記憶の枷が
音たて外れる時が来ると
来るはずの無い日を待って
部屋の片隅で 泣いている
孵化しない陽炎と
一緒に この部屋でひとり
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