羽痕-UKON-
昔 あたし達の背中に
翼があったって言ったら
あなた 本当に信じる?
灰色の歪んだ町を歩いて
同じように歪んだ空見上げて
鏡の空に映った自分を見つける
無機質な人の波の中
立ち止まると目の前に開けてくる 煌きの翼
疼く背中を撫でた指が
神様でない事だけを願って
どこまでも続く月夜の道を
ひとり歩いて そして哭(な)いた
曇り空が続くこの都市で
原色の蒼(あお)を宿した空を見たい
そんな事永遠に叶うわけがないのに
もし突き抜ける蒼い空を見れたら
そう考えるとどうしてか 背中が疼いた
背に生えた羽根に触れた
優しい指があなたである事を
薄明かりの宵闇の中で
声を殺したままで 祈った
どこまでも同じような景色の中
自分がどこまで走れるか 試したかった
透明な雫を振り撒いて
蒼い空翔(と)んでく夢を見た後に
背中を撫でた優しい翼が
あなたであって 欲しかった
そして 願いが叶う事は無く
背中の翼も 折れて消えた
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